海外の方も安心して利用できるBCDM【Work Profile】

ソフトバンクでウクライナ避難民へBCDMを無償貸与
Work Profile

はじめまして。「ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)」の企画・運用チームの高嶋です。

今回は、現在世界的にもさまざまな影響が広がっているウクライナと、BCDMの我々のチームの取り組みついてのエピソードをご紹介します。

日本に避難されたウクライナの方々に端末を貸し出す際の条件は3つ

実はソフトバンクでは、ウクライナから日本へ避難されてきた方々に向けて、日本国内での連絡手段・情報収集手段としてご利用いただけるようにソフトバンクのスマートフォン(スマホ)を2,000台規模で2年間の無料貸し出しを行っているのですが、この貸し出しを行うにあたり、以下の課題がありました。

  1. 貸し出し端末をきちんと管理すること
  2. 利用者の方のプライバシーを侵害しないこと
  3. 翻訳アプリケーションと通訳アプリケーションを配信すること

以上の条件から、まさに適当!として白羽の矢が立ったのがソフトバンクが提供するMDMサービスのBCDMです。

では、それぞれの課題に対してどのように解決していったのか、ひとつひとつ解説していきましょう。

課題1:貸し出し端末の管理

そもそもBCDMはMDM・EMM・UEMと呼ばれるサービスで、法人で利用しているスマートフォンやタブレット、PCなどの紛失時の情報漏えいを防いだり、セキュリティ対策の設定を行ったり、さまざまなデバイスを一括で運用管理することができます。

そのため、2,000台のスマホを一括で管理することは容易でした。

まずは避難民の方々が利用する端末へ事前に必要最低限のアプリケーションをまとめて管理者より配信すること

そして次に、必要なアプリケーションを誤って削除しないように一部の必要なアプリケーションに対しては削除禁止ポリシーを適用し端末を配布すること。

また、SIMカードが悪用されないようにSIMカードが抜かれた場合も考え、管理者側に通知を発信し、端末が正常に使用されているか日々把握できるようにすることで、貸し出し端末の管理に対する課題は解決しました

課題2:利用者のプライバシーを侵害しないこと

スマホを貸し出すにあたって、一番大きな課題となったのがプライバシーの問題です。

普段MDMは法人企業を対象として導入されるサービスで、一般のお客さまに利用いただくことはありません。
ソフトバンク側で難民の方々のプライバシーを一切侵害することはなく、BCDMの管理によって利用者の方々に影響が一切発生することがないようにする必要があったのです。

この課題は、BCDMで対応している「Android Enterprise」の「Work Profile」という機能を活用して解決しました。
実はBCDMでは、Androidスマホを管理するときには3つの管理タイプの中から利用用途にあわせて管理を行うことができるようになっています。

Workprofile,fully managed device,COPE

「Work Profile」という管理タイプは、BYOD(Bring Your Own Device)という個人所有のスマホを仕事に利活用する際に利用される管理タイプです。
主に海外ではポピュラーな管理タイプで、個人領域に対してMDMの管理は届かず、位置情報なども取得できず、プライバシーを一切侵害しません。

しかしBCDMの管理下にはある状態なので、実際にスマホを管理する自治体・団体の方々からは問題なく一括で管理いただける状態なので、今回のケースではぴったりでした!

また、難民の方々から個人情報を取得することは一切禁止とされておりましたので、BCDMの管理画面上で表示する内容をカスタマイズし、個人情報とされる情報については一切表示しない状態に対応いたしました。
こういった特別対応を行うことは滅多にないのですが、自社開発の強みを活かして柔軟に対応できたよいケースだと考えています。

課題3:翻訳アプリケーション、通訳アプリケーションの配信を行うこと

難民の方々が日本で一番最初に困ること・・・それは日本語でのコミュニケーション。
突然見知らぬ国へ来ることになっているので、当然日本語を話せる方は多くありません。

ソフトバンクとして費用の掛からない特別な翻訳アプリケーションとAI通訳アプリケーションを提供することを決定したため、難民の方々にスマホが渡った時にすぐに使い始めていただけるようにこれらのアプリケーションをスムーズに配信する必要がありました。

また今回配信するアプリケーションは協力会社様から特別に提供いただいたアプリケーションのため、Androidアプリケーションをダウンロードする「GooglePlayストア」に公開することはできないという課題から活用した機能が、「企業専用GooglePlayストア」。

「企業専用GooglePlayストア」とは、企業内にアプリケーションを配布する機能です。
無料で対象企業の社員へアプリケーションの配布をすることができるため、今回の課題解決にはうってつけでした。

今回、「企業専用GooglePlayストア」で行ったことは次の2つです。

  • 該当アプリケーションのサイレントインストール
     インストール時にスマホを操作してインストールする必要がありません!
  • 「限定公開アプリケーション」としてアプリケーションを公開し、BCDMの管理下にある難民利用者のスマホでのみ該当アプリケーションが利用可能

ソフトバンク発MDMサービスは、クラウドを介してサイレントインストールが可能です。従業員、貸与者が使用する社用端末(デバイス)へ、自動インストール設定を行うことができます。

この機能を利用して特別提供したアプリケーションが難民の方々のみ利用いただける状況を作り出し、手を煩わせることなくアプリケーションのインストール・配信が完了した状態で貸し出しを行うことが可能になりました。

まとめ

日本でモバイルインフラを提供する通信キャリアとして、難民の方々を支援することは実施すべき対応です。

しかし、ただ「スマホを貸し出す」という対応だけでも、たくさんの気を付けなければならない点があることを身をもって体験することができました。

ソフトバンクにいなければ経験できないであろう国と国に関わる経験を、その中心で基幹となる仕組みを提供する立場で関われたことをとても誇りに思っています。

BCDMはさまざまなお客さまに活用いただいているサービスなので、これからもサービスの素晴らしさを伝えていくことに貢献していきたいです!

今回の取り組みについてのプレスリリース